アンリ・カルティエ=ブレッソン写真集成アンリ・カルティエ=ブレッソン写真集成
Henri Cartier‐Bresson 堀内 花子

岩波書店 2004-07
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「森山・新宿・荒木」展で放映されている撮影風景のビデオを見て、ふと思ったことがある。荒木がキャパとすると、森山はブレッソンだなと。詳細に比較検討したわけではなく、イメージだけであるが。アラーキーは通行人に握手を求められたりするが、森山はそこでは全く見えない存在となっている。誰に気付かれることもなく、素早く撮影している姿に、ブレッソンを重ねてみたら、なんとなく合ってしまった、そんな感じ。
ブレッソンの写真を見ると、こうしちゃ居られない、外に出なければと思う。コンセプチュアルな写真の中には、外に出ずして完成するものもあるが、たいていは外界に在るものを撮る。その外界において、無数の潜在的イメージが逃れ去っていっている。今も。人だけではない、建設中・解体中の建造物も、季節も、何もかも。カメラがデジタルに変わったところで、やはり撮影方法は歩き、見て、写すことで変わらない。写真とは行動力だよ君、と言われたような、そんな感じ。
去年は写真界にとって訃報の連続だった気がする。ヘルムート・ニュートンの死、ブレッソンの死、デリダの死、そして年末のソンタグの死。ブレッソンは1930年代初頭に、コートジボワールで病に倒れたとき、自分の死を覚悟して亡骸を故郷ノルマンディー地方のラ・ヴァレンヌの谷に葬ることを切望し、手を尽くしたそうである。それから70年たち、ブレッソンはどこで永遠の眠りを迎えているのだろう。

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