メイプルソープの作品。以前
メイプルソープの写真展を見に行ったが、そのとき彼のプリントを見て驚いた覚えがある。モノクロのプリントだったが、印画紙がパソコンのディスプレイのように「発光」しているように見えたのだ。最初の頃の
メイプルソープのプリント技術はあまり質が良くなかったが、今回取り上げた写真集のような白が際だつプリントに変わるにつれて、
メイプルソープの神格化も着実に進行していったという話を聞いたことがあるが、それも納得できる話である。
メイプルソープは「構図」に腐心していたということを写真集の序文に書いてあったが、あの有名な腕を伸ばしたセルフポートレイト(バルトの『明るい部屋』にも登場している)も、指先のところで切れているのが一つの重要な要素となっている。本写真集でも、スナップショット的な構図の作品は一つもなく、緻密に構成された構図の写真で埋め尽くされている。