観た展示。


・谷本恵「大阪式 ミヤコジマ/24区」@gallery SHUHARI
・斉藤登「上水内の四季 伝承の里に息づく日本の心」@Roonee 247 photography
・松井宏樹「KITAKAZE」@Totem Pole Photo Gallery
・長見有方「沖縄 聖域の森」@Place M
・秋元麦踏「川の字」@Place M
・安掛正仁「ダイダラボウ- はるのよひ -」@third district gallery
・佐久間里美「In a Landscape」@POETIC SCAPE


谷本の「大阪式」は、大阪の風景と市井の人々の肖像を織り交ぜた構成となっている。二段組で上段風景・下段肖像と上段肖像・下段風景を機械的に繰り返している壁面もあったが、あまり単調さを感じなかったのは、縦構図と横構図を不定期に入れたり、人物に寄ったり引いたり複数人撮ったりとヴァリエーションが様々にあったことが理由に挙げられるだろう。上段のフレームと下段のフレームの隙間にカギカッコのついた一文が差し挟まれているのも、展示を「読む」娯楽の一助となっている。会場で売られているzine形式の写真集は、そもそもzineの楽しさはこうした「遊び心」を許容できるメディアだったはずだということを思い出させてくれる。


秋元麦踏の「川の字」は、正方形フォーマットと日本の室内風景との相性の良さをみせてくれる。ただ、撮り方に変遷があるのか、被写体との距離感が異なる写真も入っており、少しまとまりを欠いた印象を受けてしまった。


佐久間里美の「In a Landscape」は、1910〜30年代のA. L. コバーンやモホリ=ナギ、ロトチェンコらによる仰角や俯瞰から撮影することで抽象的なフォルムを生み出す写真とも、都市の表皮に接近することで有機的な抽象を浮かび上がらせる小山泰介の写真とも異なり、遠近法が見えそうで見えないあわいのなかで色面が強調されていたり、前景中景後景がメビウスの輪のように気付くとつながっているように錯覚してしまったりと不可思議な感覚を伝えてくる。
深さのあるフレームを使用していることも、色面と直線的なフォルムを強調する写真にとって面白い効果を出しているように思われる。というのも、ライトの光によって、フレームの縁の直線的な影がプリントに落ち、元の色より一段と暗い色をした「直線」がそこに出現する。