修論の準備してない。最近は写真以外の本ばっか読ん
でる。『反美学』読み終わった。クラウスが「彫刻とポス
トモダン」で行っている主張とダントーのアートワールド
での主張を比較してみると面白いかもしれない。ダントー
は「アートの歴史」(と理論)を知っていないと芸術は理
解できない(現代アートは特に)と主張するが、クラウス
であれば、それは進歩史観的な歴史主義に陥る危険性(す
なわち芸術の過去の遺産の中から一つを引っ張りだして現
代アートと結びつけるなど)があるのではないかと反論す
るかもしれない(クラウスなら更に、それはある種の啓蒙
のプロジェクトとしてのモダニズムの一環だと言うかもし
れない)。
しかし一方で、両者はアートの理論(クラウスだと形態)
においてはかなり近いものを共有しているように私には
思われる。クラウスは彫刻を巡って「風景、非風景、建築
、非建築」の四項を用いて現代の彫刻を分析している
し、ダントーは「representation,non-representation,
expression,non-expression」という四項を用いて現代絵
画を分析している。そして、クラウスは系統樹的な歴史で
はなく、論理的構造から導きだされる形態の歴史を目指す
ことを示している。この形態の歴史とは、ダントーのいう
アートの理論と同一視してもよいのではないだろうか(ア
ートワールドを読む限り、そう解釈する余地はあるように
思われる)。
ダントーいうところのアートの歴史は、実際問題として、
アートワールドの中ではそれほど言及されていない。そも
そも理論と歴史を分割することの根拠も示されていない。
ダントーのアートワールドに関する後の論文群を冬学期に
引き続き読んでいくので、そこらへんをもう一度考え直し
てみたい。