「森山・新宿・荒木」展
この展覧会の全体の雰囲気に関するレビューは、走れ白熊のほうで出る予定ですので、是非登録していただけるとありがたいです。ここでは、もう少し違った見方をしてみようと思います。
本展覧会では、B/Wプリントの他にプリンター出力のものがあり、その発色の仕方に関しては白熊に書いてあるのでここでは述べませんが、特に荒木経惟では「東京ラッキーホール」「色夏」、森山大道では「ポスター」がそれで出されているのですが、明らかにB/Wプリント(焼き込みなど一点ものに近い)に比べると粗悪で何枚も複製できるような感じで、貼り方も天井に届くぐらいに上の方まで大量に貼っており、正直良く見えません。いや、(写真とは芸術的によりよくなければならないということへのアンチテーゼとして)見えなくてもいい、複写にすぎないのだから、というメッセージがそこに込められているように思われます。しかし、一方で、B/Wプリントは綺麗に整然と並べられており、結局B/Wプリントと粗悪な複写の権力構造はそのまま頑強に残っています(あるいは、モダンプリントと複写の構造を新宿の構造に対応させているのかもしれません)。
また、本展覧会は森山と荒木の二人展ですが、私としては、二人の展覧会を初めにするにしても、やはり金村修などの写真と森山らの写真を比較するような展覧会が開かれて欲しいと思います。5名くらいで。できれば新宿を。