クラシック・イメージ―アンセル・アダムス作品集クラシック・イメージ―アンセル・アダムス作品集
ジェームス アリンダー ジョン シャーカフスキー James Alinder

岩崎芸術社 1999-03
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アンセル・アダムスの作品集。エドワード・ウェストンやイモージン・カニンガムらとともに結成した「f64」という名が示すように、最小の絞りで焦点深度の深い、シャープな写真が数多く並ぶ。アンセル・アダムスと言えば、カリフォルニアのヨセミテ公園で撮影された写真があまりにも有名であるが、「薔薇と流木」という写真はエドワード・ウェストンの植物を写した写真を強く想起させ、アダムスの周辺状況を示す上でも大変興味深い写真である。
白黒で建物などを撮影するときに、黒のしまりが悪いなどという表現がなされるが、これはアダムスが発明した「ゾーン・システム」に負うところが大きい。白と黒の間に段階を設け、完全な黒がない写真を黒のしまりがない写真と呼んでいるのである。このように、いまだに写真の世界で通用しているシステムを作り出したことを鑑みると、自然写真だけのイメージしかなかったアンセル・アダムス観が良い意味で裏切られた感がある。
この作品集の中で、特に目を引いたのは「Surf Sequence」シリーズと「Aspens」である。前者は崖の上から波打ち際を時間をおって撮影したもので、その波が描く模様はデカルコマニーの効果のような印象を与える。後者は白い肌の樹木群を写したものだが、非常に微細な細部で描かれた樹木が差し込む光によって何か畏怖を我々に感じさせるようである。