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フォーコンの写真の特徴として、人形を使っていること以外に「散乱している」印象がある。それは子どもの落ち着きのなさを表現しているのか、あるいは瞬間の強烈さを示しているか。いずれにしても「記憶」の凄まじさがその画面には濃縮されている。
また、正方形の画面はこの写真が非常に隅々にまで構成されていることを更に強化させる働きを持っているように思われる。その点で、ダイアン・アーバスの正方形の画面が持つ悪魔的な効果とは趣を異にしているが、どちらも別種の違和感を強烈に発している。
なぜ男の子の人形なのか?これは見る者にとっては気になるところであるが、例えばフォーコンに対してホモ・セクシャルや少年愛という判断を下す以外に、少年期の自分を思い出すと、男の子と遊ぶ、それも女の子を排除してまで男の子と遊ぶということに一つの快楽を見出していたと言えなくはないだろうか。ホモ・セクシャルではないが、ホモ・ソーシャルな場を積極的に構築していたとは言えないだろうか。「幼少期」というものをちょっとずらした視点で見てみると、実はかなりおかしなものに見えてくるのではないだろうか。