昨日あるゼミに参加してきたのですが、その日は「The Big Issue」日本版の設立者の方と販売員の方二名がいらっしゃっていろいろと話を聞く形式でした。ホームレスを自立させる手伝いをするということで、イギリスから始まった「The Big Issue」を先進国でありながらホームレスが非常に多い日本にも導入しようという考えは確かなものだと思います。しかし、そのゼミの話を聞いてみても、経済的自立だけが目立っていて、それで事足れりなのか疑わしく感じました。一番気になったのは、「The Big Issue」を販売しているホームレスの方は「The Big Issue」を読んでいるのか、あるいは中身に興味があるのか。経済的自立を目標にしつつ、少しずつでも知的欲求を持てるようにすることが自立につながるのかなと。でも、また複雑なことにイギリスのホームレスは若者が多いらしく、定職に就くことも十分可能なのですが、日本の場合、平均年齢が高いので、定職となるとかなり厳しい。「The Big Issue」を一段目として二段目三段目くらいまでは用意しておかないと、日本の場合改善までには至らないんじゃないかな。
あと、そのゼミで少し出た「ホワイトバンド」の話。私個人としては、政策提言というのは非常に合理的な判断だと思います。今回、仮にホワイトバンドの売り上げが貧困の国にほぼ全額寄付というかたちであったとしたら、非常に多額の寄付になったことでしょう。でもそれはあくまで「恵みの雨」です。雨は長くは降りません。しかし、先進国がアフリカの貧困救済のための費用を用立ててくれるとしたら、それは恒常的なものとなるでしょう。少なくとも1年2年で終るものではないはずです。ただ、今回の問題は政策提言などをPRするのにかかる費用がどのくらいに設定されているかを明確にしていないために、不透明感があるのだと思います(もちろん寄付だと思ってホワイトバンドを買っている人が大勢いるというのもありますが)。費用が明確に設定されているならば、その余剰分はアフリカの貧困国に寄付というかたちにすればよいし。でもホワイトバンドが「メイド・イン・チャイナ」と書いてあったときは悲しかったな。資本主義の搾取によってアフリカの貧困が助長されているのにも関わらず、その資本主義の論理に則って低賃金で制作できる中国に発注するという矛盾。こっちのほうが問題な気がする。なぜ「メイド・イン・アフリカ」では駄目だったのか。