Andreas Gursky: The Museum of Modern Art, New York (Museum of Modern Art Books)Andreas Gursky: The Museum of Modern Art, New York (Museum of Modern Art Books)
Peter Galassi

Museum of Modern Art 2001-03
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「ドイツ写真の現在」でも取り上げられている写真家の作品集。広大な台地に点在する人、人、人・・・。かと思えば、ライブ会場にひしめく人、人、人・・・。プールサイドと芝生が隣り合う場所で、各々過ごす人、人、人・・・。
グルスキーは、どれに対しても、何の感情も示していない。個性も没個性も問題となっていない。あるのは、画面に散りばめられた「人」という模様だけである。その一つ一つの模様には、何かしらの物語が読み取れるかもしれない。しかし、その物語は、グルスキーの写真の中で、全く相乗効果を生み出さない。
シーメンスや東京株式市場など、人々が働く場所を撮影した写真も、個々の人々の物語を無化している。ナラトロジーの否定、拒否、無関心。
モンパルナスの集合住宅や、何層もの階が重なり合っているホテル内部などは、巨大さがかえって、ミニマルなものを想起させる。いや、ミニマルだからこそ、無限に拡大化し得る、またその逆に、無限に拡大できるからこそ、ミニマルな要素に還元できるという、「大―小」の錯綜した関係を見事に表している。
人間もまた、ミニマルなものの、単純な繰り返しなのだろうか?
ミニマルに大量生産される書籍、食品とともに、人間もまた同様の大量生産品なのだろうか?それは、悲観的に捉えるべきなのだろうか?大量生産品は、個性を獲得し得ないのだろうか?