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スタンリー・キューブリック ドラマ&影:写真1945‐1950 レイナー クローン ファイドン 2005-11 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
キューブリックが、写真を撮っていて、しかも雇われカメラマンだったということは、私にとって新鮮な驚きであった。というのも、雑誌のカメラマンというと、決まりきった約束事を型通りに遵守するようなイメージがあるからである。しかし、やはり期待を裏切らないというか、彼の写真を見てみると、単に必要な情報だけを選択して撮るような撮影手法ではなく、まるで映画のスチール写真のように撮影されているものが多い。
写真と映画。ドキュメンタリーとシネマトグラフィー。1960年代、70年代から写真と映画のハイブリッド作品(例えば、シンディ・シャーマンの「アンタイトルド・フィルム・スティル」など)が登場するとする見方(例えば、ジョージ・ベーカーなど)は、改めるべきかもしれない。1940年代に、すでにキューブリックがハイブリッドな作品を、我々に提示している。
キューブリックの映像表現に関しては、まだまだ十分に考察されていない。映画以前のキューブリックに注目することで、彼の映像表現全体の考察が、更に進展することを願って止まない。