エル・リシツキー―構成者のヴィジョンエル・リシツキー―構成者のヴィジョン
寺山 祐策

武蔵野美術大学出版局 2005-09
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
この著作の、多木浩二による「リシツキーと20世紀」に興味深い記述がある。

そのシンボル(象徴)となるものが<正方形>です。彼は<正方形>を世界の基盤に置きました。世界は複雑きわまりないものであり、それを解決していくのは大変なことですが、彼らのような人間にとっては、世界をきわめて単純な形で表現する必要があるのです。その<単純な形>が混沌とした世界の中に登場してくるとしたら、それは平面的な正方形なのだと彼は述べています。マレーヴィチの正方形の影響を受けつつ、「世界の計画」へ展開させ、その「世界」が生成する兆候として<正方形>を捉えていたと思われます。まずシュプレマティズムがあり、そのシュプレマティズムが作る世界の中にコミュニズムが現れてくるとリシツキーは考えた。これはマルクス主義的にいえば、つまり当時の史的唯物論は社会や文化を上部構造(芸術)と下部構造(経済)という形で考えていたわけですから、それをはっきりと逆転した形で捉えていたと思います。p.169

これは、原文にあたる必要あるかな。ベルメールと同時代でもあるし。