第8回 photographers' gallery講座

2.5次元のリアル――ステレオ写真の快楽」
 講師:前川修(写真論・神戸大学助教授)id:photographology
司会:斎数賢一郎

2007年1月13日(土) 18:00 〜
受講料:2000円 定員:15人

※実際にステレオ写真を見ながら行うワークショップ型のレクチャーです。
 受講料にはヴューアーなどの教材費が含まれています。




19世紀の写真の流通経路に、絵葉書や肖像写真に並んで、ステレオスコープがあった。ステレオスコープとは19世紀前半に開発された科学的実験装置であり、これが当時発明された写真と結びつき、ステレオ写真が爆発的に流行することになる。やがてステレオ写真は、科学、軍事、観光、教育、娯楽など、さまざまな用途に応用され、視覚文化のひとつの中心を形成した。
 そもそもステレオ視は、遠くのものを目の前に近づけつつも、鼻先で微妙な距離を保つことで、どこにもない立体像を生じさせる見方である。しかし、当時その像をつうじて欲望されていたのは、現実の世界を触れるように確かめることでもあった。ところがその確からしさは不安定であるがゆえにかえって生々しい確からしさでもあった。3次元未満2次元以上の奇妙で強烈な現実感、ステレオ的視覚が、「見る」ことに憑かれた19世紀の視覚メディア(パノラマ、写真、映画など)のあいだで、あたかもステレオ像のように不安定に浮遊しつづけていた理由はここにあるのかもしれない。
 このレクチャーでは、ステレオ写真を見ながら、こうしたステレオの起源とその快楽について考えてみたい。
ステレオ写真を見るには二種類の方法があります。右目で左側の写真を、左目で右側の写真を見る【交差法】と、右目で右側の写真、左目で左側の写真を見る【平行法】です。今回の講座では平行法にもとづいたステレオ写真を多く鑑賞する予定ですので、上記の平行法で撮られた写真をステレオ視できる方は、講座をより楽しめる内容となっています。

もう明日に迫っていますが、まだ駆け込みでいけるかもしれません。是非ご参加を!ラルティーグのステレオ写真楽しみだなあ。