第38回(2012年度)「木村伊兵衛写真賞」の受賞者が発表されましたね。
http://www.asahicamera.net/info/photographnews/detail.php?idx=321


対象作:
・菊地智子―グループ展「日本の新進作家vol.11 この世界とわたしのどこか」の「I and I」
・百々新―写真集『対岸』(赤々舎刊)&同名写真展


写真集と写真展がセットで対象作になることはままあることですが、展示のみの受賞はかなり久しぶりになるのではないかと思います。ひとつ気になるのは、選者は写真集と写真展をどれくらい違ったメディアとして見ているのか、あるいは見ていないのかというところ。例えば、まだ同名写真集が刊行されていませんが、志賀理江子さんの「螺旋海岸」は写真集と写真展でかなり違う印象を与えるのではないかと思います(もし仮に蛇腹式写真集にして螺旋状に「置く」ことができたとしても)。展示ならではの表現手法も写真の楽しみのひとつです。その一方で、写真集と写真展のあいだにそれほど大差がないものもあります(というか、こうしたケースが殆どですが)。


取り扱うテーマの話もいいのですが、展示だからこの表現ができたというような視点(もちろん、写真集の作りのこういう部分に写真表現の可能性を感じるというような視点も)も選考理由のなかにあるとよいのですが。