畠山直哉陸前高田(2011)/気仙川(2002−2010)」@アーツ千代田 3331を観る。
「写真家・畠山直哉の故郷である岩手県陸前高田市の3.11以後の姿を捉えた写真60点と、それ以前の写真60点を、表裏2枚のスクリーンで同時投影」とあるように、この展示ではスライドプロジェクションを用いて、写真と写真のあいだにブラックアウトする時間を入れながら、それぞれ60枚を連続して流している。


今回、しばらく会場で見ていたのだが、表と裏のスクリーンの写真が同時に切り替わるバージョンと、交互(1枚の写真が投影されている時間がだいたい12秒程度、ずらして投影しているため、一方の写真が投影され始めてから6秒後にもう一方の写真が切り替わる)に切り替わるバージョンの2つがあったように思う。前者は会場全体が一瞬暗くなる。その一方、後者は目の前のスクリーンを見ている目の端で、自分の位置からは見えない側の写真が切り替わっているのが光の加減で分かる。


2011年3月11日以前と以後の時間がどのように関連しているのかが、写真の切り替わりの方法によって、異なる印象を与えるように思われる。前者は、以前と以後の時間がタイムラグ無く同じ速度で進行する印象を受けるが、後者は両者の時間がズレている印象を受ける。これは、今を生きる私たちの感覚を示しているのかもしれない。