First Born


有田泰而『First Born』赤々舎、2012年11月22日


この写真集は、2011年7月にカリフォルニアで亡くなった有田泰而が1968年から1975年まで『カメラ毎日』で掲載した「First Born」シリーズや「GIジョー」「きせかえとしゃげきのゲーム」などの写真と未掲載の写真を、上田義彦が新たにプリントし編集したものである。


異なるシリーズが混在して並べられているが、いずれも有田の当時の妻であるジェシカを被写体としているため、それほど違和感を感じることはない。加えて、これらのシリーズが妻の妊娠出産という出来事と歩調を合わせていることもあって、結果的に家族アルバムとして読むこともできる。


それにしても、なんとも言えない時期で区切られた家族アルバムであろうか。出産の前後3年間あまりを範囲としているが、急速に母親の顔に「なる」一方で、ふとした拍子に色気を感じさせもする。見ているこちら側がどぎまぎしてしまうが、これは一枚の写真の力だけでなく、編集の手によるところも大きいのかもしれない。これを機に、カメラ毎日で連載されていた当時の写真の並びと比較して、上田義彦の編集の特徴をみてみたい。