今年のテーマは、ポートレイトになりそう。
というわけで、ここでひとつ。



加来金升『明治大帝御写真帖』明治大帝偉業奉賛会出版部、1926年(国立国会図書館デジタル化資料:http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1014798/7)。


御真影を調べている最中に見つけたもの。座姿の昭憲皇太后
座姿の皇后写真が存在していたことはあまり知られていないように思われる。
若桑みどり著『皇后の肖像』では、立姿の皇后と座姿の天皇とのあいだの視覚表象上の差異に注目し、当時の女性に担わされていた役割について論じられていた。明治天皇皇后両御真影を論じた他の研究者の著作も、姿勢の差異を取り上げている。座姿も撮影されていたとなれば、立姿の皇后の写真が選ばれたのは単にうつりの良いほうを選んだ、つまりうつりが良ければ座姿の皇后写真が採用されていた可能性もないわけではないことになる。今後、明治天皇皇后両御真影を論じる際にどういう記述の仕方になるのか気になるところである。