「人形とアート」小川千恵子×榊山裕子 appel@経堂
今年開かれた「球体関節人形展」を話の足がかりとして、
現代の人形の動向とその行く末を展望していく内容といえ
るのかな、本講演は。今さっき、話を聞いてきたばかりな
ので、何を言えばいいのかさっぱりなのですが、日本にお
ける人形史の不在という問題があるのではないかと。から
くり人形などの江戸時代における人形の本はあるのですが、
それ以降の本となると、通史的なものは皆無ではない
のでしょうか。美学的な観点からの考察も増渕宗一さんの
『人形の(と?)情念』くらいしか思いつきませんし。
ベルメールの人形の画期的なところの一端はそのサイズに
あるのではないでしょうか。ベルメール以前の人形(ダダ
以前という意味で)でそのようなサイズの人形は果たして
あったのでしょうか。そして、日本においてどうであった
のか、これも問題とすべきではないでしょうか。生人形で
巨大なものもあったと思います。単なる時系列にとどまら
ない人形史、すなわち芸術理論(例えば模倣理論や印象理
論、表現理論等々)の流れも踏まえた人形史というものが
考えられねばならないのではないでしょうか。その意味で
サイズという点は無視できないように思われます。