「痕跡」展に行ってきました。展示作品の解説が結構しっかりしてた。久しぶりだな、まともな解説見たの。ジャクソン・ポロックのドリッピングが、キャンバスと身体との間のある種の空間において生み出されるのに対して、イブ・クラインの「人体測定」などはキャンバスと身体が完全に接触している。現代アートダントーの論文を見るまではあまり興味がなかったのが正直なところで、それこそ「芸術の歴史と理論」を理解しておらず、「理由付けのディスコース」を有していなかった。痕跡というところに着目しているなら、例えば19世紀までの絵画の筆跡(筆致)とジャクソン・ポロックの違いはどこで、また同じところはどこで、それに対する批判としての後の現代アートの作家の作品はどういったものかという、戦後以降の芸術概念にとどまらない大きな視野でやったほうが面白いのではないかと。