In-between (5) 本山周平 ルクセンブルグ、オランダIn-between (5) 本山周平 ルクセンブルグ、オランダ
本山 周平

EU・ジャパンフェスト日本委員会 2005-07-10
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In-Betweenシリーズ。本山周平の写真集。このシリーズには珍しく、モノクロ写真で構成されている。ルクセンブルクから始まる、この写真集は、冒頭から非常に陰鬱な雰囲気を醸し出している。日の差さない土地、人気の無い土地、時の止まった土地・・・。
しかし、段々と画面に「白」=「光」が生じ始める。すると、途端に時間が動き始める。城壁には、時代の流れを感じさせる剥落や亀裂が、そこかしこに見られる。そこは、紛れもなく、今の「ルクセンブルク」である。
一方、オランダの写真は、最初から光溢れるものばかりである。ただ、何か寂しさも感じられる。多くの写真が、一人佇んでいる姿を撮影しているからであろうか。橋の上に一人、建物の脇に一人、港に一人、公園に一人。
オランダの写真は、光を得た後の世界を示すかのようである。人々は、世界が光に満ち溢れていることに気付いていない。光は、どんな人にも不平等なく降り注がれる。私達が光の存在に気付いたとき、ふと近くにいる誰かを呼び寄せたくなる衝動に駆られる。そんな風にして、人とのつながりができてもいいんじゃないだろうか?私達の両手は、誰かと誰かをつなぐ導線。つながればつながるほど、私達はあるときには「誰か」になり、あるときには「導線」になるのである。