天気も良かったので、久しぶりにギャラリー巡りをする。



@photographers' gallery
野村佐紀子野村佐紀子展 2」と大友真志「Mourai 5」
@PlaceM
須田一政風姿花伝
セルバンテス文化センター東京
ホルへ・ルイス・ボルヘス 「アトラス―迷宮のボルヘス
@タカ・イシイギャラリー
荒木経惟「古希ノ写真」
無人島プロダクション
八木良太「事象そのものへ」
森岡書店
小泉佳春「B e f o r e」
@銀座ニコンサロン
鈴木龍一郎「RyUlysses」
@リング・キューブ
アレックス・プレガー「WEEK-END」

須田一政さんの「風姿花伝」のプリントは初めて見たかもしれない。彼のポートレイトを見ると、背景の過剰さ若しくは切迫さを強く感じることがある。修学旅行に来ているのか女子学生の集団の写真と引率らしき先生ような男性の写真が二枚あるがどちらも背景がほぼ同じで、牡丹のような大ぶりの花がたくさん咲き誇っている。被写体と背景とのあいだが非常に狭いせいもあって、被写体が背景に「飲み込まれる/押し出される」というせめぎあいが起こっているかのようでもある。背景は森のようでもあり壁のようでもある。
「エロトス」などの言葉遊びを通して「死」を書き換えてきた荒木経惟さんの今回のタイトル「古希ノ写真」は、最初の印象では比較的平凡なタイトルだなと。でも、展示作品のなかで空を写した写真群を見たときに、荒木さんは今回も「死」を書き換えているのではないのかと考えるようになった。というのも、20年前(「天命」ということになるのか)も同じく「死」のあとに荒木さんは空の写真ばかりを撮っていたそうだ。ここにおいて、空の写真が「反復」されている。「天命ノ写真」を「古希ノ写真」に書き換えることで、「古希ノ写真」が「○○ノ写真」によって書き換えられる可能性、書き換えの反復を暗にほのめかす。
タカ・イシイギャラリーのある階で福居さんと偶然会い、無人島プロダクションの展示を教えてもらう。今回初めて八木良太さんというアーティストの方を知る。いくつか作品が出ていたけれど、ゆるめの共通点としては「コードの変換」かな。赤外線を聴覚化させたり、聴覚情報を視覚化させたり、境界線を聴覚化させたり。
鈴木龍一郎さんのパノラマ写真が今回のギャラリー巡りで一番のお気に入りかも。スデクやクーデルカのパノラマ写真好きとしては今回の展示は外せなかったので、当然コースに組み込む。パノラマ写真の縦構図が結構好きなので、今回の展示でもあるといいなと思っていたら、ちゃんとありました。特に好みだったのは、マネキンの足を写した写真と海岸の砂浜を撮影した写真。クーデルカの写真に見られる切り裂くようなシャープさは無いけれど、じわじわと浸透してくる感じ。写真集だとどうしてもパノラマ写真は見開き等で真ん中に折り目がきてしまって台無しになったり、縦構図は横構図に比べて極端に縮小されたりするので、展覧会で見るのが一番。


ブクローの「トーマス・シュトゥルートのアーカイブ」翻訳終了。読みやすい日本語に書き直し中。すでに別の著者の論文翻訳に突入。これが終わったら、またブクローに戻ってこよう。彼の"Allan Sekula: Photography between Discourse and Document"にしようかな。