星玄人写真展「St. photo exhibition 15」@サード・ディストリクト・ギャラリー


2013年3月26日から4月7日まで、サード・ディストリクト・ギャラリーで開催されていた星玄人写真展「St. photo exhibition 15」が、なぜ今も気になっているのかを考える。


展示されていた写真の多くは、一般的にはストリートスナップショットと呼ばれるものにあたるだろう。しかし、私が感じるこの展示の魅力は、スナップショットの美学だけではないように思われる。


星の写真を見てまず気付くのは、被写体となった人々の多くがこちらを見ていることだ。しかも、ストロボを浴びながら。被写体がカメラの存在に気付く前に撮ることも可能であるはずなのに、星は被写体がカメラに気付いたその刹那を狙っている。被写体が「了承」しているか否かはともかく、見る見られる、撮る撮られる関係をお互いにかろうじて認識している(あるいはその閾にある)。広い意味でのポートレイトの定義がこうした関係を前提とするならば、星の写真はポートレイトとも呼べるかもしれない。


スナップショットでありポートレイトでもあること。
「near portrait」とでも言えるようなその存在様態は、その時代その場所に生きる人々の肖像写真でありながら、ストロボを面前で浴びせられた被写体がその撮影後にどういう行動を起こしたのだろうかということにまで思考を運ばせる(それはスナップショットの魅力だ)。画面内は肖像写真のようにある種の静けさを漂わせているが、胸の鼓動がなかなかおさまらないのはそのためだろう。静寂と鼓動、こうした感覚の共存こそ「near portrait」の特性と言えるのかもしれない。